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~太陽と日時計の探訪~

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今出川天文通りに太陽・月・星を訪ねて3(大将軍八神社と仁和寺)

北野天満宮のあと、大将軍八神社と仁和寺を訪れました。大将軍八神社は北野天満宮の南側約200mにある神社です。境内には星をモチーフとしたモニュメントがあるほか、方徳殿(宝物館)には渋川春海の作と伝えられる天球儀など「古天文暦道資料」が展示されています。

徒然草の「仁和寺にある法師」で有名な仁和寺は北野天満宮の西約2kmにあります。仁和寺の前には青銅製の赤道式(円環型)日時計が設置されています。

大将軍八神社

鳥居と神門(大将軍八神社)
鳥居と神門

大将軍八神社は、平安京建都の際に都の北西角「天門」の守護として創建されました。大将軍八神社の歴史と祭神は複雑で、八将軍神社のウェブサイト、公式パンフレット、Wikipediaでその説明が微妙に異なるのですが、主要な点のみをまとめると以下のような経緯をたどってきたようです。

鳥居に掲げられた扁額(大将軍八神社)
鳥居に掲げられた扁額

鳥居に掲げられた扁額には大将軍社とあります。門前の立て札の説明によると、江戸時代には大将軍社と呼ばれていたそうです。

大将軍神を含む「八将神」と「素戔嗚尊とその御子八神」の対応は以下となっています。

本殿(大将軍八神社)
本殿

大将軍八神社は平安時代の創建から約1200年、建物は建て替えられながらもずっと同じ敷地に位置しています。参道の左右には狛犬が、本殿の前には星をモチーフとした石碑が設置されています。

星のモニュメント(大将軍八神社)
星の石碑

本殿前にある星の石碑です。方位を司る星神を祀っていることから、石碑の円形部分には星(おそらく「北辰信仰」に由来する北極星)が、その台座部分には方位と対応した八卦「乾・兌・坤・離・巽・震・艮・坎」の文字が刻まれています。

ところで前回、北野天満宮の「星欠けの三光門」について紹介しましたが、欠けていた星は実は大将軍八神社にあったのです!・・・というのは少し無理があるかもしれませんが、大将軍八神社は北野天満宮から約200mと近く、参道から見た星の石碑の延長上(北方向)に北野天満宮があることからも、何かしら意味があるように感じてしまいます。

大将軍神半跏像(大将軍八神社)
大将軍神半跏像

本殿の右奥、方徳殿の前には大将軍神の石像があります。大将軍神は方位を司る神であり、方位を犯すと災いをもたらすとされ、人々から恐れられた神でもありました。そのため剣をもった荒々しい姿として彫られています。

大将軍神半跏像と方徳殿(大将軍八神社)
大将軍神半跏像と方徳殿

こちらは正面から見た大将軍神像です。大将軍神の後ろにあるのが大将軍八神社の「方徳殿」(宝物殿)になります。

方徳殿には、重要文化財に指定されている「神像」80体と京都府指定文化財の「古天文暦道資料」が収蔵されています。開館日は基本的に5/1~5/5と11/1~11/5 の10:00-16:00となっています(その他の日も事前に問い合わせれば開けてくれるようです)。今回は方徳殿の開館日に合わせGWに訪問しました。ただ、館内は撮影禁止のため、写真はありません。以下の「京都で遊ぼうART」の記事に内部の様子が紹介されています。

方徳殿1階には木造の神像80体がずらりと並べられていて圧巻です。京都では仏像はあちこちで目にしますが、神像がこれだけ多くまとまっている例は他にはないそうです。大将軍信仰が盛んだった平安時代中期から鎌倉時代に作られたもので重要文化財に指定されています。

方徳殿2階には、古天文暦道資料が展示されています。これらは前々回紹介した安倍晴明の子孫「土御門家」に関連する資料です。明治時代、土御門家が東京に移った際に京都に残された資料が収蔵されています。展示品は、土御門家に伝えられてきた天文学の資料のほか、渋川春海の作とされる天球儀もあり、天文史の観点からも興味深いものでした。

仁和寺と日時計

二王門(仁和寺)
二王門

大将軍八神社のあと、徒然草の「仁和寺にある法師」で有名な仁和寺を訪れました(実際には2日にわけて回っています)。仁和寺は今出川通からは外れますが、ちょうど今出川通りを西に延長した位置にあります。大将軍八神社から仁和寺へはバスで向かいましたが、乗り場が分かりにくくルートも遠回りだったので、北野白梅町駅から御室仁和寺駅まで京福電気鉄道の利用が便利です。

上の写真は仁和寺の「二王門」です(重要文化財)。京都3大門のひとつにも数えられているそうです(他の二つは知恩院の三門と南禅寺の三門)。二王門では2体の金剛力士像が出迎えてくれます。

仁和寺前の日時計
仁和寺前の日時計

そんな二王門の前には、ブロンズ製の赤道式日時計(円環型日時計)が設置されています。まわりには松の木が茂ってしまっていますが、幸い訪れた5月の昼過ぎは日も高く、日時計の影をしっかりと読むことができました。

仁和寺前の日時計
仁和寺前の日時計

赤道式日時計は、文字盤が半円状で、ノーモン(影を作る指時針)は天の北極を向いています。ノーモンが半円状の文字盤に落とす影で時刻を読みます。

北庭(仁和寺)
北庭

仁和寺そのものは太陽や天文とはあまり関係ありませんが、せっかくなので仁和寺の主な見どころを紹介します。仁和寺は庭が有名です。こちらは北庭。池泉式の庭園です。

南庭(仁和寺)
南庭

続いて南庭。庭内は一面の白砂の周囲に松や杉を配した作りとなっています。訪れたのは春の御室芸術祭の期間中で、彫刻家・本郷芳哉氏のインスタレーション作品を見ることができました(普段は石を模したオブジェは設置されていません)。

五重塔(仁和寺)
五重塔

重要文化財の五重塔です。1644年建立で高さは36m。

金堂(仁和寺)
金堂

国宝の金堂です。仁和寺の本尊である阿弥陀三尊を安置しています。建物は1600年頃に造営された御所の建物を1600年代に移築したものです。

交通案内

大将軍八神社は北野天満宮から徒歩約5分。仁和寺へは大将軍八神社の西すぐの京福電気鉄道・北野白梅町駅から電車の利用が便利です(御室仁和寺下車)。仁和寺へは京都駅から直接バスで行くこともできます(御室仁和寺下車)。

Google Map:大将軍八神社仁和寺

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