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~太陽と日時計の探訪~

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今出川天文通りに太陽・月・星を訪ねて2(北野天満宮)

北野天満宮は、菅原道真を祀る神社であり、福岡県の太宰府天満宮と共に天満宮(天神社)の総本社とされています。道真の怨霊を鎮めるために祀ったのが起源ですが、次第に怨霊としての性格は薄れ、江戸時代以降は学問の神として有名になりました。受験シーズンには多くの参拝客で賑わいます。

北野天満宮にはこれまでも何度か訪れていますが、太陽・月・星を象徴する「三光門」に太陽と月の彫刻があることを知り、今回改めて訪れました。また、後半では北野天満宮前にある粟餅(あわもち)で有名な澤屋(おすすめです!)も紹介します。

北野天満宮

一の鳥居と狛犬(北野天満宮)
一の鳥居と狛犬

今出川通りに面して建つ花崗岩製の一の鳥居です。鳥居前には大きな狛犬も鎮座しています。天満宮の文字が書かれた扁額だけでも高さ2.7m、幅2.4m、重さ563kgもあるそうです。

牛(北野天満宮)
撫で牛

天満宮と言えば牛。北野天満宮にもあちこちに牛の像があります。牛は神としての道真の使いとされ、古くから自分の体の悪い部分をなでたあと、牛の同じ部位をなでると病気が治ると伝えられてきました。そのため牛の体はどこもピカピカ。もっともこのご時世なので触るのは厳禁かと思いきや、なんとこの牛、全身に抗菌加工が施されていて、台座の上には参拝者用のアルコール消毒液も完備されていました。

楼門(北野天満宮)
楼門

参道の正面には立派な楼門があります。掛けられた額には「文道大祖 風月本主」の文字が刻まれています。平安時代の学者が菅原道真を讃えた言葉だそうです。

三光門(北野天満宮)
三光門

楼門を抜けた後、左斜め前に折れた参道を進むと現れるのが今回の目的である「三光門」です。重要文化財に指定されています。門の横に設置された説明書きには「門の名前は、日(太陽)・月・星の彫刻があることに由来する」旨の記載がありますが、実際には星の彫刻はなく「星欠けの三光門」とも呼ばれています。これは「天神さんの七不思議」のひとつに数えられています。解釈には諸説あるようですが、北野天満宮公式サイトでは「門の名は日・月・星の彫刻に由来しているけれども、星は天上に輝く北極星のことで、実際には刻まれていない。平安時代、御所の場所は現在とは異なり当宮を北西に臨む千本丸太町に位置し、帝が当宮に向かってお祈りをされる際、三光門の真上に北極星が輝いていたから」だと説明されています。

三光門の日(太陽)の彫刻(北野天満宮)
三光門の日(太陽)の彫刻

こちらが三光門に掲げられた日(太陽)の彫刻です。朱色の太陽が雲間から顔を出した様子が彫られています。

三光門の月の彫刻(北野天満宮)
三光門の月の彫刻

反対側には月の彫刻があしらわれています。こちらも日(太陽)の彫刻同様、雲間から月がでた様子が彫られています。なお、北野天満宮ではこれを月としていますが、この彫刻を月ではなく星とみなす説もあります。

三光門のうさぎの彫刻(北野天満宮)
三光門のうさぎの彫刻

三光門には日(太陽)・月以外にも見事な彫刻が数多くあります。そのひとつがこのうさぎの彫刻です。よく見るとうさぎの後ろ足の左上に三日月が浮かんでいるように見えます。ひとつ前の写真の月の彫刻を星と見なし、こちらを月と解釈するのも一つの説のようです。うさぎが月のシンボルであることも考え合わせると、この説ももっともらしく感じますが、謎は謎のまま、見た人が自由に解釈できるのがよいのかもしれません。

天満宮の扁額(北野天満宮)
天満宮の扁額

こちらは三光門に掲げられた扁額。堂々たる「天満宮」の文字は江戸初期の後西天皇の筆によるものです。

北野天満宮社殿
北野天満宮社殿

三光門の先が社殿です。本殿・拝殿が一体になった社殿は1607年の建築で、国宝に指定されています。豊臣秀吉の遺命に基づき、豊臣秀頼の寄進により造営されたもので桃山時代の豪華な建築様式が見られます。

灯篭に彫られた日(太陽)(北野天満宮)
灯篭に彫られた日(太陽)

他にも太陽と月をモチーフとしたデザインがありました。それが境内各所にある灯篭です。こちらは太陽を型どった丸い穴となっています。

灯篭に彫られた月(北野天満宮)
灯篭に彫られた月

そして反対側にまわると月になっています。北野天満宮の全ての灯篭がこのデザインなわけではありませんが、探してみるとかなりの数が見つかりました。その後、注意して見ると他の神社でもこの太陽と月をモチーフとした灯篭を何カ所かで見かけましたので、一般的なデザインのひとつなのかもしれません。

長五郎餅北野天満宮境内茶店
長五郎餅北野天満宮店

北野天満宮境内に発売から400年以上の歴史を持つ長五郎餅の茶店があります。こちらは基本、縁日開催日(毎月25日)のみの営業ですが、訪れた日は天満宮の青もみじ苑の特別公開期間中だったため、オープンしていました。

長五郎餅北野天満宮店
長五郎餅北野天満宮店

長五郎餅の由来:1580年代のこと、長五郎と名乗る老人が北野天満宮の縁日であん入りの餅を売り歩いていました。豊臣秀吉が北野天満宮の松原で大茶会を催した際にも出店し、その餅を秀吉に献上したところ、秀吉が気に入り「以後『長五郎餅』と名乗るべし」と命名されたそうです(長五郎餅本舗公式サイト)。

長五郎餅
長五郎餅

せっかくの機会なので、一番小さな2つ入りを購入して食べてみました。柔らかいお餅に餡が入った羽二重餅風の大福でした。これはこれでおいしかったのですが、私のおすすめは次に紹介する粟餅の澤屋です。

粟餅所 澤屋

粟餅所 澤屋
粟餅所 澤屋

北野天満宮に来たらはずせないのが粟餅(あわもち)の澤屋です。北野天満宮のすぐ向かいにあります。こちらも創業は1682年とのことなので、300年以上の歴史があります。

澤屋の粟餅
澤屋の粟餅

こちらが粟餅。粟をついて作った餅をこしあんでくるんだものと、きな粉をまぶしたものがあります。お店では注文してから餅をあんでくるみ、きなこをまぶすので出来立てを味わうことができます。素朴な味ですがこれが絶品。私は餅の風味をよりダイレクトに味わうことができるきな粉味がお気に入りです。賞味期限は当日中ですが、持ち帰り用を購入することもできますので、北野天満宮に行った際にはぜひ立ち寄ってみてください。

交通案内

北野天満宮へは京都駅からバスで直接行くことができます(北野天満宮前下車すぐ)。地下鉄今出川駅方面からは今出川通を西に走る203番のバスで同じく天満宮前下車すぐです。詳しいバスの路線・運行については、京都市交通局のサイトでご確認ください。粟餅の澤屋は、北野天満宮・一の鳥居前の横断歩道を渡って右に少し歩いた場所(北野天満宮からは出川通をはさんだ向かい)にあります。

Google Map:北野天満宮澤屋

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