地球は回り日はまた巡る

~太陽と日時計の探訪~

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犬吠埼灯台と日時計(銚子)

千葉県銚子市を銚子電鉄で巡りました。初めに犬吠埼灯台へ。犬吠埼灯台の入口前には日時計が設置されています。次に愛宕山(地球の丸く見える丘 ふれあい広場)の日時計を見たあと、銚子電鉄・外川駅へ。外川駅には太陽と月をモチーフとした「笑顔の塔」が設置されています。最後に、銚子大仏(飯沼観音)を訪れました。

銚子電鉄で犬吠埼へ

銚子駅に停車する銚子電鉄
銚子駅に停車する銚子電鉄

出発は銚子駅。銚子電鉄で犬吠埼へ向かいます。銚子電鉄は、銚子駅~外川駅間6.4kmを結ぶ私鉄です。鉄道事業での赤字経営が続く中、路線存続のため取り組んでいるユニークな取り組みでも知られています。2021年度決算では、「ぬれ煎餅」「まずい棒」など銚子電鉄ブランドの物販事業が寄与し6期ぶりに黒字転換したことでも話題となりました。

犬吠埼灯台からの眺め
犬吠埼灯台からの眺め

銚子電鉄を犬吠駅で下車し、犬吠埼へ向かいました。写真は犬吠埼灯台の上から眺めた犬吠埼の海岸線です。犬吠埼は太平洋に突き出た岬で、写真手前側が犬吠埼になります。

犬吠埼灯台と重要文化財の日時計

犬吠埼灯台全景
犬吠埼灯台全景

犬吠埼に立つ「犬吠埼灯台」です。明治7年(1874年)の竣工で、イギリスから招聘したR.H.ブラントンによる設計です。世界灯台100選、日本の灯台50選に選定されているほか、国の重要文化財にも指定されています。

犬吠埼灯台
犬吠埼灯台

犬吠埼灯台は、国産煉瓦を用いたレンガ建築で、煉瓦製の建造物としては尻屋埼灯台(青森県)に次ぎ、日本第2位の高さを誇っています。外観は真っ白に塗装され、太陽の光を反射して青空に負けない輝きをはなっていました。

犬吠埼灯台の日時計
犬吠埼灯台の日時計

灯台の入口横には日時計が設置されています。実はこの日時計、「旧日時計」の名称で犬吠埼灯台本体と共に重要文化財に指定されています(附指定)。気象観測などの目的で、当時、灯台には日時計がセットで設置されていたようです。それなら他にも重要文化財になっている灯台の日時計がないか調べてみたところ、複数あることが分かりました(下記)。これらの灯台・日時計は全て犬吠埼灯台と同じR.H.ブラントンの指導により建設・設置されたものです。

※旧菅島燈台附属官舎は愛知県の明治村内に移築されています。日時計は明治村内の旧三重県庁舎内で展示されているそうです。

犬吠埼灯台の日晷儀(にっきぎ)
日晷儀(にっきぎ)の表記

こちらの日時計には、日晷儀(にっきぎ)の銘板が設置されています。日晷儀(もしくは日晷)は、日時計の古名。現在では「日時計」の呼び名が一般的ですが、中国語では今でも日晷と呼ばれています。

犬吠埼灯台の日時計
犬吠埼灯台の日時計

日時計は青銅製の水平式日時計で、時刻板は正方形となっています。この日は天気もよく、時刻をはっきりと読むことができました。

犬吠埼灯台の日時計
犬吠埼灯台の日時計

灯台の上から眺めた日時計です。

犬吠埼灯台から眺めた太平洋
犬吠埼灯台から眺めた太平洋

犬吠埼灯台は、太平洋に突き出た岬の突端に位置するため、灯台の上から太平洋を一望することができます。

資料展示室の一等フレネルレンズ
資料展示室の一等フレネルレンズ

灯台横にある資料展示室には灯台に関する展示があります。中でも目を引くのが灯台に使われているレンズ。灯台の光を一方向に照射するために使われます。展示されているのは、かつて沖ノ島灯台で使われていたもので、国産第1号の一等「フレネルレンズ」。一等はレンズの大きさを表します(一等が最も大きい)。現在、日本の一等灯台は、犬吠埼灯台を含め、経ヶ岬灯台(京都府)、出雲日御碕灯台(島根県)、角島灯台(山口県)、室戸岬灯台(高知県)の5つのみとなっています。

地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計

地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計
地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計

犬吠駅をはさんで、犬吠埼灯台の反対外(西側)に北総地域で最も高い山、愛宕山があります。といっても標高は73.6m。犬吠駅から、なだらかな斜面に広がる畑の中の道を登ること約15分ほどで山頂につきます。山頂にある「地球の丸く見える丘展望館」は水平線を330度見渡せる場所として観光名所にもなっていますが、今回は展望館前にある公園「ふれあい広場」に日時計を訪ねました。

地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計
地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計

こちらがその日時計。錨が半分地面に埋まったユニークな形をしています。まっすぐな錨の柄の部分(シャンク)が緯度と同じ約35度になるように設置され、影を作るノーモンの役割を担っている水平式日時計です。

地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計
地球の丸く見える丘 ふれあい広場の日時計

この日は天気もよく、しっかりと日時計の影を見ることができました。このとき1時少し前。錨の柄の部分(シャンク)と湾曲部分(アンカーアーム)の影が重なっていて見にくいですが、手前のほうの影が示すのが時刻になります。

キャベツ畑と犬吠埼灯台
キャベツ畑と犬吠埼灯台

ふれあい広場を後にし、外川駅に向かいます。ふれあい広場のある愛宕山と銚子電鉄の路線の間には一面のキャベツ畑が広がっています。ここからは最初に訪れた犬吠埼灯台も望むことができます。

外川駅の「笑顔の塔」

外川駅の笑顔の塔
外川駅の笑顔の塔

キャベツ畑を抜けて外川駅に到着しました。外川駅にはこの「笑顔の塔」が設置されています。外川駅の愛称は「ありがとう 外川駅」。ネーミングライツを取得した住宅メーカーの早稲田ハウス(株)による命名です。こちらの「笑顔の塔」も早稲田ハウスが寄贈し、2016年に設置されました。

外川駅の笑顔の塔
外川駅の笑顔の塔

正面は太陽をモチーフにしています。来訪者に笑顔になってもらいたいとの願いから、ほほ笑む太陽が描かれています。後ろ側にももうひとつ顔があり、そちらはにっこりと笑う月となっています。(後ろ側の写真を撮り忘れたため画像はありません。後ろ側の月も見たい方は、「笑顔の塔」でネット検索してみてください。)

銚子電鉄 外川駅
銚子電鉄 外川駅

外川駅の外観です。大正12年に建てられた駅舎は現代の駅にはない趣があります。いくつか銚子電鉄の駅を見ましたがこの駅が一番好きです。ちなみに外川は「そとかわ」ではなく「とかわ」と読みます。

外川駅の時刻表
外川駅の時刻表

駅舎内には手書きの時刻表が掲げられています。駅舎に合わせ、昔の雰囲気を残しているのだと思います。なお、ご覧の通り昼間は1時間に1本程度と本数が少ないため、銚子を銚子電鉄で周る場合は電車の時刻に合わせた計画を予めたてておくことをお勧めします。

銚子大仏(飯沼観音)

飯沼観音(正式には飯沼山圓福寺)の銚子大仏
飯沼観音(飯沼山圓福寺)の銚子大仏

外川駅から銚子電鉄に乗り、観音駅で下車。そこから飯沼観音に向かいました。本尊が十一面観世音菩薩であることから飯沼観音と呼ばれていますが、正式には飯沼山圓福寺。平安時代創建と伝わる古刹です。

銚子大仏
銚子大仏

飯沼観音境内には、阿弥陀如来坐像(通称 銚子大仏)が安置されています。銚子大仏は、正徳元年(1711年)建立。江戸時代から伝わる青銅製の露仏(屋外に安置された仏像)です。

銚子大仏
銚子大仏

日時計も大仏も、ブロンズ(青銅)の鋳物で作られることが多いのが共通点。風雨に耐えた青銅色が醸し出す色合いがなんとも言えず好きです。このサイトのテーマとは外れますが、ブロンズ彫刻を見るのも好きで、国内では銅像露仏を意識的に見て回っています。

ぎょ魚蔵部の「メカジキのソースかつ丼」
ぎょ魚蔵部の「メカジキのソースかつ丼」

最後に、飯沼観音からもほど近い銚子漁港にある「ぎょ魚蔵部」で遅めのランチをいただきました。下調べなく入ったお店でしたが、ここの「メカジキのソースかつ丼」が大正解。ふわふわジューシーな食感で今まで食べた魚フライの中でも1,2を競う味でした。

交通案内

銚子電鉄各駅からの徒歩での所要時間です。犬吠埼灯台へは犬吠駅から約10分。地球の丸く見える丘ふれあい広場へは犬吠駅又は外川駅から約15分。飯沼観音へは観音駅から約5分です。

Google Map:犬吠埼灯台地球の丸く見える丘 ふれあい広場外川駅飯沼観音