日本標準時子午線の街・明石 前編
(街の日時計とモニュメント)
日本標準時子午線・東経135°が通る街、明石市。JR明石駅を出発し、明石城跡、明石上ノ丸教会、月照寺、子午線標示柱、柿本神社、明石市立天文科学館、人丸前駅とまわりました。前編では柿本神社までを紹介します。
明石城跡の日時計

JR明石駅を出発し、まず向かったのは駅からもほど近い明石城跡。明石城跡は明石公園として整備されていて、南側の入り口から入った先には大きな日時計が設置されています。

ノーモン(影を作る棒)は槍を模してつくられています。その高さは優に人の身長を超えます。この日は天気もよく、日時計の落とす影もくっきりと見ることができました。

この日時計は、兜日時計と呼ばれています。日時計に兜のデザインがあしらわれているためです。

1枚目の写真に見えていた櫓部分に登ってきました。明石城跡に残る左右ふたつの櫓は江戸時代から現存するもので、国の重要文化財にも指定されています。日にちを限って内部の公開もされているようです。
明石上ノ丸教会

明石城跡から東方向、明石市立天文科学館へと向かいます。その途中にあるのが明石上ノ丸教会。1907年創設と100年以上の歴史を持つ教会です。

この教会には鐘楼が設けられていて、その下に垂直式の壁型日時計が設置されています。白壁に日時計がよく映えます。ヨーロッパでは教会の壁面によく日時計が設置されていますが、日本では教会に限らず壁面に日時計が設置されているのはとても珍しいと思います。
月照寺

続いて向かったのが明石市立天文科学館の横に位置する月照寺です。こちらは月照寺の庭園。後ろに見えるのは明石市立天文科学館の時計塔です。

月照寺には東経135°の子午線が通っていて、子午線上に梵鐘が設置されています。戦時供出により失われていた鐘を昭和53年に再鋳造した際に、日本で唯一東経135°に位置する梵鐘として「子午線大梵鐘」と名づけられました。

鐘の下には子午線を示すLED付きのラインが示されています。奥に見えるのは、子午線標示柱と明石市立天文科学館の時計塔で、これらが一直線に並んでいるのが分かります。
子午線標示柱(トンボの標識)

東経135°の日本標準時子午線を示す標示柱です。昭和5年に今の位置から11mほど離れた場所に設置されたもので、昭和26年の子午線のより正確な計測の結果、現在の位置に移設されました。

別名トンボの標識。「あきつ」(トンボの古名)が「あきつ島」(日本の異名)の象徴としてあしらわれています。
柿本神社

月照寺・明石市立天文科学館と隣接して柿本神社があります。神社の前には奉納された石造の水平式日時計が設置されています。

手前の銅板は均時差表。日時計の補正用に、日時計が示す時刻と実際の時刻とのズレ(最大16分)が記載されています。よく見るのはグラフ形式のものですが、こちらはなんと12カ月×31日の表に366日分の値がビッシリ記載されているめずらしい形式です。

柿本神社の拝殿です。御祭神は柿本大明神とも称される柿本人麻呂。柿本人麻呂は歌聖と仰がれることから歌道の神・学問文芸の神として信仰を集めています。
交通案内
明石城跡がある明石公園(南側入口)へは、明石駅より徒歩約3分。明石公園(東側出口)から、月照寺・子午線標示柱・柿本神社があるエリアへは徒歩約10分です。明石上ノ丸教会はその中間地点にあります。