天智天皇ゆかりの時の史跡2
(大津:近江神宮と日時計)
667年、天智天皇は飛鳥から近江大津宮(滋賀県大津市)に遷都します。天智天皇崩御後、後継者となった大友皇子が壬申の乱で敗れたため、大津京はわずか5年余りで廃都となってしまいますが、それから1200年余り後の1940年(昭和15年)、天智天皇を祭神として近江神宮が大津の地に建立されました。天智天皇が初めて漏刻(水時計)を作り人々に時刻を知らせた故事にちなみ、近江神宮は時を祀る神社として知られています。また、天智天皇の和歌が小倉百人一首の第1首目に選定されていることから、かるたの聖地としても有名です。
近江神宮
近江神宮は、比叡山から続く山地が琵琶湖畔の平野とぶつかる山際に建てられています。写真は二の鳥居へ向かう階段。このあと更に階段を登ると楼門へ、そこからまた階段を登ると拝殿に至ります。
時を祀る神社としての最大の見どころが楼門の先にある広場です。広場では、奉納された日時計や漏刻(水時計)、火時計を見ることができます。
東京時計製造株式会社謹製の水平式日時計です。台座には均時差表(季節による太陽位置と時刻のズレ)がついていますので、均時差を補正することでより正確な時刻を知ることができます。
奉納者は、東京時計製造株式会社・東部漏刻会・近畿時計組合連合会の3者連名となっています。昭和39年奉納。
岐阜天文台の矢橋徳太郎氏考案による矢橋式日時計です。時刻目盛りが等間隔なのが特徴で、それに合うように台座が傾いて設置されています。昭和62年設置。
時刻盤を回転することで均時差(季節による太陽位置と時刻のズレ)を補正できるようになっています。
こちらは、漏刻。飛鳥水落遺跡でも紹介した水を利用した時計です。オメガ社日本総代理店により昭和39年に奉納されました。
古代中国で使われていたとされる火時計の模型です。ロレックス社により昭和59年に奉納されました。龍を模したデザインもなかなかカッコイイですね。
火時計には均等に糸で銅球が吊るされています。水平方向に線香を渡し、その火が糸を順番に焼き切ることで銅球が落下し下に設けられた銅鑼が鳴って時を告げる仕組みとなっています。
日時計などが設置された広場に面して、時計館・宝物館があります。入館はしませんでしたが、中には和時計をはじめとした古今東西の時計、奉納された絵画などが展示されているそうです。
日時計などが設置された広場からもう一段上がったところから見下ろした広場と楼門です。
一番高い位置には、外拝殿・内拝殿と本殿があります。こちらは内拝殿。
十割蕎麦 善庵
近江神宮境内に十割そばを味わうことができる善庵があります(2022年現在は原則予約制)。近江神宮創建当初に参拝者休憩所として建てられた建物で、登録文化財となっています。
そばは会津産。そばの実の中心部分だけを贅沢に使っているため、かなり白く仕上がっています。あまりそばの味は分からないのですが、おいしくいただきました。そばせんべい、そば湯付きです。
こちらは別オーダーのそばがきぜんざい。そばがきは、そば粉を水で溶いて加熱し、団子状にしたものです。とてもなめらかな仕上がりで、ぜんざいとして食べたのは初めてですが、とても気に入りました。おススメです。
交通案内
JR湖西線・大津京駅から徒歩で訪問しました。駅からは徒歩15分ほどです。最寄り駅は京阪石山坂本線・近江神宮前駅ですが、こちらは本数が少なくJRとの乗り継ぎもあまりよくありませんでした。