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~太陽と日時計の探訪~

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LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
による日照確認

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye [フジフイルム・Xマウント用] レンズを購入しました。使用目的は、日時計や庭の植栽などにいつ日があたるかの日照確認です。購入後、レンズの射影方式を確認しましたのでその結果等をこちらに記載しておきます。

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye による日照確認
黄色の丸が太陽位置を表す。数字は時刻。上から夏至、春分、冬至。

レンズの概要

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye は撮影範囲が円形に写る円周魚眼レンズです。画角は210°、つまり天空に向けて撮影した場合、水平面より下15°(=(210-180)/2)の範囲まで撮影できます。Fuji Xマウントのほか、Sony E、Canon EF-M、Leica L、Nikon Z、マイクロフォーサーズの各マウント版が発売されています。

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
図1.LAOWA 4mm F2.8 Fisheye

マニュアルフォーカスのレンズですが、焦点距離が短いので絞ればピントの合う位置は非常に広くなります。ある程度距離が離れた場所を撮影するのであれば、撮影ごとにピントを調整しなおす必要はありません。

魚眼レンズの射影方式にはいくつかありますが、本レンズは「等距離射影」に該当します(詳細は下記「レンズの射影方式」に記載)。「等距離射影」では、光線の入射する角度と画面の中心からの距離が(ほぼ)比例します。

※LAOWA は個性的な交換レンズを数多くだしている中国のメーカーです。正しくはLAOWAはブランド名で、Anhui ChangGeng Optical Technology (Venus Optics) というのが社名のようです。このレンズも含め、複数のレンズが日本でも賞を受賞するなど、性能とコストパフォーマンスには一定の評価があります。

レンズ射影方式の確認

トップ画像に示したように撮影した写真に太陽位置を対応させるには、視野角と写真の位置関係を予め把握しておく必要があります。この関係は、レンズの射影方式によって決まります。事前にネットで調べたものの、射影方式についての情報が見つからなかったため、購入後に独自に確認を行いました。

確認にあたっては、室内にカメラを鉛直上向きに設置し、カメラ位置から各角度(水平面:0°~天頂:90°、15°刻み)に対応する壁・天井(図2)に付箋を貼って撮影を行いました(図3)。

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
図2.カメラ位置と壁・天井における角度の対応
LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
図3.実際に撮影した画像(一部ぼかしを入れています)

そして、撮影した写真上で各角度に対応する距離を求めました。その結果を図4に示します。

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
図4.画角と画像中心部からの距離の関係

図は横軸に角度を縦軸に写真中央からの距離(円周部までの距離を1として基準化)を示しています。結果を見ると、ほぼ角度と距離が比例関係にあることが分かります。特に30°から90°付近では線型性が極めて高いことが確認できました。一方で、角度が低くなると角度に対する距離の変化が小さくなる傾向も認められましたが、線型を仮定した場合に対する計測結果のズレは数%であり、その誤差が問題にならないのであれば、光線の入射する角度と画面上の距離が比例するとみなして問題なさそうです。

結論: 本レンズの射影方式は光線の入射する角度と画面上の距離が比例する「等距離射影」です。ただし、特に円周部周辺では数%の誤差が生じる可能性があります。

天空の撮影と太陽位置の合成

以下ではトップ画像に掲載した写真の作成方法について概説します。

まず天空の写真を撮影します。このときレンズが真上を向くよう、三脚にカメラを固定し水準器で調整します(図5)。方位との対応も必要となるため、今回は南が画像の真下にくるよう調整して撮影しました。方位については間違いがないよう、コンパスと地図でのダブルチェックを行うようにしています。また、どこで撮影した写真か後で分からなくならないように、撮影した場所、地表からの高さも記録しておきます。

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
図5.天空撮影時のセッティング

次に、天空を撮影した写真に、太陽位置を合成します。これはエクセルのマクロ(VBA)で処理しています。エクセルで緯度・経度・日時に対応した太陽高度・方位の計算を行い、エクセルシート上に貼った天空写真に太陽高度・方位に対応したオブジェクト(丸の図形と時刻を表す数字)を合成しています。このとき、重要になるのが先ほど確認した射影方式です。本レンズは「等距離射影」で、角度と距離が比例するとみなします。例えば太陽高度30°(=天頂からの角度60℃)であれば、画像の中心から円周部までの距離を画角の半分(105°)で割り、それに60をかけた距離だけ中心から離れたところに太陽が位置することになります。どの方向に位置するかは太陽方位によって決まります。

天空写真に太陽位置を合成した例を図6に示します。この例では、太陽高度が高くなる夏至には、朝7時から16時過ぎまで撮影位置に日があたることが分かります。一方太陽高度が低く、日がでている時間も短い冬至では、11時ころから14時すぎまでが、かろうじて日照がある時間帯となります(それ以外の時間は建物等が太陽を遮るため影になります)。

LAOWA 4mm F2.8 Fisheye
図6.春分・夏至・冬至における太陽位置