バーチャル日時計の読み方
時刻の読み方
この日時計の基本的な読み方です。文字盤の中心から延びる影が指し示す時刻目盛りを読んでください。下に示す図1の例ですと8時ちょうどとなります 。
より正確な時刻を知るには、影が示す時刻から均時差を引いてください。均時差は文字盤に表示しています。図1の例ですと、日時計の影が示す時刻が8:00、均時差が10分ですので、8:00-10分＝7:50となります。均時差がマイナスの値のとき（例：-10分のとき）は、マイナスの値を引くので、数字部分をたすことになります（例：8:00-(-10分)＝8:10）。
なお、上の図には表示していませんが、日時計の上部にデジタル表示している時刻は、日時計の指し示す時刻ではなく計算の前提とした正確な時刻（リアルタイム表示時はスマホ・PC等から取得した時刻）です。
均時差とは
この日時計は、経度差から生じる時差をあらかじめ補正した文字盤を採用していますが、日時計にはそれだけでは補正しきれない季節による誤差が生じます。これは、太陽が南中する（真南にくる）時刻が１年を通して一定ではないためで、この南中時刻の変動が「均時差」に相当します。均時差は約-15～+16分の範囲で変動します。年間を通した均時差のグラフを図2に示します（均時差の＋－の符号の取り方は資料によっては逆になっている場合がありますのでご注意ください）。
均時差は地球の公転が楕円軌道であること、および地球の自転軸が公転面に対して垂直ではないことから生じます。興味のある方は、国立天文台のサイトなどを参照ください。
太陽位置（方位）の表示
この日時計には、太陽の位置（方位）を表示しています。日時計の一番外枠に表示した○印が太陽の位置を示しています（図3）。太陽は、日の出～日の入りまでは赤で、日の入り～日の出まではグレーで表示します。スマホを水平な面に置き、日時計をリアルタイム表示した状態でこの○印を実際の太陽の方向に向けてもらいますと、影の向きを実際の日時計と合わせることができます。またこのとき、方位盤に示した東西南北がその場所における方位と一致するので、コンパスとして使用することもできます。
日時計の下部右側には、太陽の高度（水平線から太陽中心までの高さ方向の角度）及び方位（南：0°、西：90°、東：-90°、北：±180°）をデジタル表示しています。
太陽高度と日の出・日の入り
この日時計は、太陽高度が-0.265°以上となるときに影を表示します。図4に示すように、太陽は見かけ上の角度にして約0.53°の大きさを持っています。
日の出・日の入りの定義は、太陽の上側が水平線に達した時刻となります。この日時計で計算している太陽の高度は太陽の中心位置となるため、太陽高度が-0.265°以上となったら日の出（-0.265°未満となったら日の入り）と判断しています。なお、太陽高度が低くなる日の出・日の入り前後には、大気の影響により太陽が浮き上がり、実際の高度より高く見えます。この日時計の計算では、その影響も考慮しています。
日時計の形状
本サイトで採用している日時計は文字盤が水平となるように設置する「水平式日時計」と呼ばれるタイプです。基本となる点さえ押さえれば、同じ水平式日時計でもさまざまにデザインすることができます。この日時計では図5に示すように円形の文字盤と、直角三角形のノーモン（影を作る板）を採用しています。ノーモンの軸の原点を文字盤の円の中心に設定し、ノーモンの軸の長さが文字盤の半径と同じ長さとなる設計としています。
- この設計ですと日本の夏至前後の太陽高度が高い時間帯には影が短くなり、文字盤の一番外側まで影が到達しなくなりますが、形状・計算の単純化のためこのような設計としています。
- このタイプの日時計は、低緯度（赤道付近）では時刻目盛りの間隔が狭くなるため正確な時刻を知ることが難しく、赤道（緯度0度）ではノーモンの高さがゼロとなり影が生じないため日時計としては機能しません。
- 緯度＝±90°では方位の定義ができないため、±90°が設定された場合は、±89.99°として計算を行います。
- 図ではノーモンに一定の厚さがあるように表記していますが、計算上はノーモンの厚さはゼロ（限りなく薄い）と仮定したときの影を表示しています。
日時計の精度
この日時計の表示（太陽位置の計算）は概算計算に基づくため、必ず誤差が生じます。均時差の補正後でも最大で数分程度の誤差が発生する可能性があります。日時計の上部には、計算の前提としている正確な時刻（リアルタイム表示時はスマホ・PC等から取得した時刻）を表示していますので、日時計の指し示す時刻と比較してみてください。
日時計のシミュレート方法
日時計の計算、表示方法について簡単に記載すると、以下のようになります。リアルタイム表示時には2秒ごとに再計算と表示の更新を行っています。
(1)緯度からノーモンの形状を決定し、文字盤に真上からみたノーモンの線を表示。(2)緯度・経度・標準時との時差から時刻目盛りの角度を計算し、文字盤に表示。(3)緯度・経度・日時・標準時との時差から太陽位置（高度と方位）を計算。(4)太陽位置とノーモンの形状から影の形を計算し、表示。