地球は回り日はまた巡る

~太陽と日時計の探訪~

Sundial地球時計

地球時計の読み方

概要

季節(日付)は太陽と地球の位置関係で決まり、時刻は地球上の現在位置(太陽に対する向き)により決まります。この関係が視覚的にわかる「地球時計」を作成しました。

地球時計の文字盤は地球を公転面に対し真上(北側半球側)から見下ろした様子を表しています(図1)。自転軸は公転面に対し傾きをもっているため、北極点は中心からはズレた位置(中心より下方)となります。時刻を示す文字盤(内側の円)は現在位置の緯度面を示しているため、緯度により表示される大きさが異なります。

地球計の読み方
図1.地球時計の表示(北緯30°の例)

季節(二十四節気)の読み方

文字盤の中心から延びる長針(赤)は太陽と地球の位置関係=季節(二十四節気)を示します。下に示す図2の例ですとちょうど夏至(6/21頃)となります。地球の公転軌道を北半球側から見下ろしているため、針は通常の時計とは逆(反時計回り)に回転し、約1年かけて1周します。

季節(二十四節気)の読み方
図2.季節(二十四節気)の読み方

二十四節気について:現在使われている二十四節気は、太陽と地球の位置関係(太陽の黄道上の視位置)をもとに、1年を24に分割し、その分割点に季節を表す名称をつけたものです。春分・夏至・秋分・冬至などを含み、各名称は天気予報でも耳にする機会があるかと思います。地球時計では、太陽と地球の位置関係を表示していますが、これがそのまま二十四節気に対応するため、長針上(図2右の外周)に二十四節気の目盛りを表示しています。

時刻の読み方

文字盤の中心から延びる短針(青)は地球上での現在位置=時刻を示します。下に示す図3の例ですとちょうど18時となります。地球の自転に対応しているため、針は通常の時計とは逆(反時計回り)に回転し、1日かけて1周します。

時刻の読み方
図3.時刻の読み方

時刻を示す文字盤の白色の部分は昼間を、グレーの部分は夜を示しています。図4(左・中)に示すように、季節により昼/夜の時間配分が異なる(夏至頃は昼間の時間が長く、冬至頃は夜の時間が長い)ことが分かるかと思います。なお緯度が66.6°以上の地域では、夏至の頃には24時間日が沈まない白夜となります(図4:右)。

時刻の読み方
図4.左から北緯30°における夏至・冬至、北緯70°における夏至

地球時計の読み方については以上となります。以下では地球時計のもう少し詳しい仕様について記載しますので興味のある方はご覧ください。

季節(長針)の計算と精度

地球(を含む惑星・以下同)の公転軌道は楕円であり(ケプラーの第1法則)※、地球が太陽の周りをまわる速度・角速度は一定ではありません(ケプラーの第2法則)。地球が太陽に近づく1月に最も速くなり、太陽から遠ざかる7月には最も遅くなります。そのため、春分~秋分の日数と秋分~春分の日数は約7日異なります。この速度差を再現しないと、夏至・冬至等の時期を正しく予測できないため、地球時計では、ケプラー方程式(惑星の位置を定義する方程式)を解くことにより地球の位置を求めています。ケプラー方程式は、解析的に解くのが困難なため、ニュートン法を用いた近似計算で解いています。精度については、将来数十年(~2060年)にわたり1時間以内(太陽黄径で0.02°以内)の誤差で、夏至・冬至等の日時を計算できることを確認しています。

※地球の公転軌道の扁平率(短径÷長径)は0.99986と、見た目上は極めて円に近いため、地球時計では円上に太陽位置を表示しています。

時刻(短針)の計算と精度

地球時計では、実際の時刻に対応した時刻目盛を表示しているため、時刻の誤差は基本的に生じません。また、太陽が南中する時刻は1年を通して一定ではなく、約-15~+16分の範囲で変動します(均時差)。地球時計ではこの変動も考慮し、太陽の南中時刻が実際と一致するよう表示を行っています。

地球時計では昼と夜の時間の対応(グレー部分が夜)を示していますが、これは幾何学的な太陽の中心位置を基準とした表示です(太陽の中心位置が水平線/地平線に対し0°となった時が昼と夜の境界)。これは一般的な、日の出・日の入りの定義とは異なります。天気予報やネット検索したときに表示される日の出・日の入り時刻は、太陽の上端が水平線/地平線に接した時刻(見かけ上の太陽高度が-0.265°となる時刻)になります(図5)。そのため、地球時計での日の出(短針が夜→昼の境界に来る時刻)は、一般的な日の出時刻より数分遅く、地球時計での日の入り(短針が昼→夜の境界に来る時刻)は一般的な日の入り時刻より数分早くなりますのでご注意ください。

日の出と日の入り
図5.一般的な日の出・日の入りの定義